直感的な操作で行う筍のあく抜き

今の時期が旬という事で生の筍を貰ったのだが、家に持って帰ってはたと下ごしらえの手が止まる。

どこから手を付けていいか分からない。

とりあえず頂いた筍が入っていた箱の中にある説明書を見る。

その説明書がまた分からないのなんの。

10cm×10cmぐらいのメモ用紙にあく抜きの工程が書いてあるのだが、その説明が薄い。


①筍を水洗いして表面の土を洗い流す。

ここまではいい。

しかし初めて生の筍を触ったが、意外と毛の感触が強い。

皮の部分は竹のように固くツルツルした感触かと思ったが細かくて固い毛がびっしりと生えている。

手で撫でるとその一本一本の毛の固さをしっかりと感じられるぐらい。


②稈鞘が取れそうなら軽く取り根本を薄く削ぐ

待て待て待て。

常用じゃない漢字を出すんじゃない。ググろうとしても読み方も分からないから打ち込みようがない。

「のぎへんに早いみたいなやつ」とググるとようやく「稈」が出てくる。

筍のあく抜きの工程の中で今のところ一番これに労力を使っている。


調べを進めると「稈鞘」は筍の皮のことらしい。じゃあ筍の皮が取れそうなら軽く取りと書けばいいだろうに。

そもそも用意した説明書が小さい故に「筍の皮」だと3文字の所を「稈鞘」とすることにより1文字節約している。


それに加え、料理を普段しない人や筍のことを全く分かっていない人に「取れそうなら軽く取り」こういう曖昧な説明は勘弁してほしい。

眼前にある筍の皮が取れそうかどうかと聞かれたら、

「一度取ってしまうと取り返しが効かないので、ここは取らずに保留するべきでは?」と答えるインテリな自分もいれば、

「パワーを込めていいのなら全部とれますが?」と答えるマッチョな自分もいる。


今時の筍はiPhoneのように直感的な操作を可能にしているようだ。


③筍の先を斜めに切り落とし、筍に切り込みを入れる。先は深く、根元は浅く。

また出たよ。iPhoneの直感的な操作。

しかも今度は説明文も何だかおしゃれ。倒置法まで用いられている。

「先は深く、根元は浅く」とか「花は桜、君は美し」みたいなこと言いやがって。

Appleの前衛的感覚といきものがかりのアート性を併せ持つ筍がここにある。


④筍が浸るぐらいの水を鍋に入れ、米糠・鷹の爪を入れて40分ほど煮る

この工程にたどり着くまでにもう既にぐったりだ。

ここも「筍がいい感じになるぐらい水を入れ、グッドなタイミングまで煮る」みたいな直感的操作を求められたらどうしようかとヒヤヒヤしていた。


一応、説明書と並行して母に筍のあく抜きの方法を電話で聞いたのだがそれも当てにならなかった。


僕「筍の先を斜めに切るってどっち向きに切ったらいいん?」

母「こっち向きに切るんやろうなって方向に切ったらええねん」

僕「は?」

母「こう切ったら収まりがええなあって方向あるやろ?そっち」


僕「切り込みいれるってどれぐらい?」

母「先を切り落としたら中が年輪みたいになってるの見えるやろ?その真ん中ぐらいまで切り込みを入れんねん」

僕「ほうほう、根元の方は?」

母「すぅっとでええよ」

僕「は?」

母「切り過ぎでも、切らなすぎでもない煮た後に剥きやすいやろうなって感じで」


まさか母までiPhoneの直感的な操作に侵されていたとは。Appleの影響力はとどまるところを知らないようだ。


今までの情報を総合して筍を直感的にあく抜きしてみた。

その結果がこれなんだが、どう思う?

どうやら直感的にあく抜きできてしまう故に直感的な説明になってしまうようだ。

直感的に調理が成功すると自らの料理センスを確認できたみたいでとても満足感と達成感がある。

筍のあく抜きは大体でいいんだ。


一方、妻はyoutubeで筍のあく抜きの動画を見た。驚異的な速さであく抜きを終わらせていた。

無駄に文章うまくて草

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僕のブログが沢山のアクセスをいただくようになってきたんですよ。

それ自体は嬉しいことだったんですけど、

沢山の人が見るって事は僕に対して良い意見だけじゃなく批判もあるってわけで
大体1,000人に1人ぐらいの割合で酷い意見を貰う事もあるんですよ。

 

でも書いたものを外に出すって事はもちろんそういった批判も当然受けるってわけで
それも念頭に置いてたから酷いこと言われても気にならなかったのよ。

 

「面白くない」って言われても気にならない。

「読んで時間無駄にした」そうかそうか全然オッケー。

 

でも、それだけはダメだよ。それを言っちゃあお終いよ。

 

「無駄に文章うまくて草」だけはダメだってば。

 

何か怒りとか悲しみとかじゃなくってただただ脱力した。

なんだろうこの行き場のない感情。

 

これから酷い目にあわすぞって言われたから、こっちは歯食いしばって目をつぶって覚悟決めてるのに
実際はちょっと乳首こねるくらいみたいな。

「あふん」とか声漏れちゃうんで。

 

そんなんだったらいっそ力いっぱい殴ってもらっていいですか?

 

しかも殴ってきたらきたでアフターフォローがしっかりしてる。

「ひどいこと言ってゴメンな。文章うまいやん」

DVするやつか。

俺も「たまに酷いこと言ってくるけど、でも本当は優しい人だし…」みたいなな。

共依存のスパイラルがとどまるところを知らない。

 

大体「草」ってなに?

 

人造人間十七号を吸収したセルを圧倒した時のベジータみたいにニヤニヤしやがって。

笑いたきゃ腹から笑えよベジータ

 

「無駄に文章うまくて草」っていうのも俺に直接言わずにtwitterで俺のブログを引用してツイートしてるの。

やめろよ。そこから来た人にバイアスかかるじゃねえか。

ニヤニヤ笑うベジータバイアスが。

 

しかもそのtwitter見てると、そいつ俺より10も下なの。

10個下ってまだ下の毛も生えそろってない小童じゃねえか。

そんな10個下のアニメアイコン陰キャオタクに精神やられてるの。31歳のおじさんが。

 

結局何が言いたいかっていうと、俺は乳首こねられたらあふんって声が出るってこと。

 

ちなみにその草って言われてた記事はこれ

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自分で見返しても確かにいい文章だわ。

なんていうか筆がノッてる。

9mm Parabellum Bulletの「punishment」のギターソロ部分、口で言う選手権

 

飲み会で良い感じに酔って、場が暖まってきたときに相応しい話とは何だろう?

友人達と久しぶりに集まって、各々の近況報告も一通り終わり、2杯・3杯とグラスを空けて気分も高揚してきた。

この仕上がった状態で、さあフリートークで何を話す。

過去の自分の飲み会の様子を思い浮かべてどうでしょう?

 

恋愛の話?

やめとけやめとけ。

恋愛の話なんて大抵がのろけ話か慰める話に終始して、オチがないまま終わってしまうからやめとけ。

「私の彼がさあ・・・」なんて話し出しの枕に付いた日にゃあ自虐風自慢でマウンティングされること必至だ。

そんな話じゃ楽しく飲めないから恋愛の話はやめとけ。

「私の彼がさあ、この間の私の誕生日に夜景見るためにヘリをチャーターしててさあ、私高いところ苦手だって言ってたのにもう最悪ー」

うるせえ。


下ネタ?

やめとけやめとけ。

下ネタは人それぞれ面白く感じたり、不快に感じるラインが様々で最大公約数的に置きに行った話しかできないからやめとけ。

「○○ちゃんはS?M?どっち?」世界で一番ゴミの質問だ。

この質問を聞く方も聞く方だが「えーどっちだと思うー?」と一見迷惑そうに、しかしその実は嬉々として答えている奴も同罪だ。

そういう質問は一刻も早く打ち切れ。

あと「私はSとMの中間だからPかなー」とか言うやつ。

お前はユーモアを履き違えている。

その返しが鉄板みたいに思っていたかもしれないが今後はやめとけ。

 

じゃあ結局何を話せばいいんだ。

大丈夫。フリートークにとっておきのネタがある。

9mm Parabellum Bulletの「punishment」のギターソロ部分、口で言う選手権が僕たちにはあるじゃないか。

えっ?どうやったらいいか分からない?

大丈夫、僕が今から見本を見せるから。その通りに今度の飲み会でやってみるんだ。いいね?いくよ。

 

デデドゥドゥデデドゥドゥデデドゥドゥデデドゥドゥデデドゥドゥデデドゥドゥジャッジャッジャッジャッ
ギュゥゥゥンピゥィィンローピゥィィンローピーロリロリロピーロリロリロピーロリロリロピーロリロリロピロロロピロロロピロロロピロロロ
ピーロリロリロピーロリロリロピーロピーロピーロピーロピロロロ
ピーロピロピロピーロピロピロピロロロピロロロピロロロピロロロジャァァァン

年々速くなっていくPunishmentソロ集[LIVE]

 

脳のシナプスが死んでいく音がするね。

ちなみに2行目のところで「ピーロリロリロ」派か「ピーロピロピロ」派か分かれる所が一番盛り上がるところだよ。

そういう食い違う意見をぶつけ合うのが醍醐味だね。

日常じゃ意見が分かれた時に相手の意見を真っ向から反対して自分の意見を押し通すなんてことは中々無いじゃない?

自分の意見は言わずに譲ってばかりだよね?辛いよね?

こうやって非日常的なやりとりが出来るのもお酒の席ならではだね。

何より良いのはこんな選手権をマジでやるぐらい飲んでたら大体何やったか次の日には覚えてないって事が一番良い点だね。

 

これが盛り上がったら次はHawaiian6の「a cross of sadness」の大サビのsadnessシャウト選手権の開催だね。

静かにa cross of ...と入って激しくsadness。いかにこの緩急をつけるかが一番の醍醐味だね。

ボーカルのホームレス感を表現出来たら芸術点を加点だね。髪を振り乱して歯並びを悪くすることがコツだよ。

ここまで来たらもう飲み会のことは全く記憶から抜け落ちているね。

撮った覚えのないムービーを見つけて初めて選手権が開催されてたことを知るんだよね。

 

最後に僕からお願いだよ。

こんなことするけど広い心で受け止めて僕と飲んでね。

なんだか西野カナのトリセツみたいになっちゃったね。

これからもどうぞよろしくね。

友人が器物損壊罪で調書を取られた

栃木に友人がいる。

その友人とは一度も会ったことがない。

SNSを通じて話が合い、連絡を取り続けもう3年経つ。

 

去年の11月頃にその友人から恋人が出来たと連絡があった。

素直におめでとうと言い、その後は友人から恋人との幸せそうな近況報告を聞いていた。

 

そして今年の2月。

友人が付き合って3ヶ月が経とうとしていた時に、
恋人から「他に好きな人が出来たから別れてほしい」と言われたと友人から連絡があった。

 

何があったか詳しく聞くと、

その日友人は恋人の家に行っていたそうだ。

二人で家でまったり過ごしているときに急に別れを切り出されたとのことで、
当然納得のいかない友人はその他の好きな人のことを根掘り葉掘り聞いた。

すると友人と付き合ってすぐに他にいい感じの人が現れて、そっちが上手くいきそうだから友人とは別れようって事を考えての今回別れを切り出された。

つまり二股されてたってことだ。

ちなみにここまでの一段落を一回のラインで送信してきた。

一画面に収まりきらない長さで、まるで季節外れの七夕の短冊のようだった。

 

ただ単に魅力が劣っていただけならしょうがないと思えたが、二股されてたとなったら許せないという気持ちが沸々と湧いてきたようで、恋人の家にある二人で選んだペアの食器やマグカップをすべて叩き割り、手元にあったハサミで家電という家電の電源コードを切断しまくったそうだ。

最後に通電中の洗濯機の太い電源コードにハサミを入れ、バチバチッと火花が飛んだところで警察を呼ばれたそうだ。

 

警察が来る頃には多少冷静になった友人は、警察にすべて自分がやったことを認め、器物損壊の調書を取られた。

そして警察は痴情のもつれによる今後の展開をやはり熟知しているようで、
友人に「何があったか当人たちにしか分からないし、許せないのは分かるけど彼氏の会社とか親とか彼の新しい彼女とかに連絡したりして、迷惑かけたら捕まるからやめときなさい」と

友人の行動を先回りして釘を刺して帰っていったとのことだ。

事実、友人は彼氏の会社を知っていたし、電話するつもりだったそうだ。

 

その時、友人が考えていたこととして

「彼氏の口が臭いのを我慢して歯医者に行くように促したり、服がダサいのを改善して、さあやっと男が上がってきたというところで他の女に掠め取られた事が許せない。その女が苦労もせずにマシになった男を奪ったツケはあなたに払ってもらいます」

 

「職場も分かっていることだしあなたにはいろいろな方法で傷付いて欲しいので、まず職場に電話します」

 

「頑なに相手の女には連絡させてくれなかったので、普通に彼女がいない男として彼女とデートしてお付き合いできそうで良かったです。それが出来れば他に何もいらないよね?」

 

「こんな厄介な私が今後ストーカー化せずにキッパリ別れられるんだから、その代償を払って今少しの痛い目見るぐらいは我慢出来るはず」

 

これだけの事を元カレに送ったよーと無邪気に私にも報告してくれました。

人って裏切ったら本当にダメ。

 

それからしばらく連絡が途切れた後にまた友人から「洗濯機って高いの?」と急に連絡が来ました。

壊した洗濯機の弁償があるそうで、その金額を気にしている様子でした。

「ピンキリだけど15万ぐらいじゃない?」と返すと

「某有名家電メーカーの多分凄くいいやつ」とのことだったので、ここは気まずい空気を換えようと

「ハサミ入れたぐらいで切れるような電源コード使ってるそのメーカーが悪いわ。クレーム入れて新しいやつ貰ったらいいんじゃない?」と冗談を言うと

「元カレ、そのメーカーの社員なんだけど…」だそうだ。

なかなか優秀な人のようだ。

将来が楽しみだ。

元カレのその将来に友人はいないけど。

 

それから時が経ち、今ではすっかり友人も落ち着きを取り戻し、相変わらず私と馬鹿な話で盛り上がっている。

「私なんで結婚できないんだろ?」

と友人が問いかけて来たら

「電源コード切断するからじゃない?」と言って今日も私達は笑い合っている。

老人ホームに入った途端に祖母の顔から急激に活気が無くなった

祖母が老人ホームに入った。

 

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この祖母ではない。


今回は母方の祖母の話だ。

87歳で頭ははっきりしているし、足腰も強くこれまで自分のことは自分で何でもしてきたが家で一人でいる時に何かあったら、と考えた時にやはり常時側に誰かがいる環境がいいのではと思い老人ホームに入居したそうだ。

 

2月に入居して、先日初めてその老人ホームを訪れた。

祖母の顔を見てビックリした。

祖母がぼんやりした顔になっていたのだ。

 

今まで自宅にいた時は、家事をして、買い物をして、出かける時や寝る時は火の元や戸締りの確認をしたり
良い意味で気を張っていたことが老人ホームに入ったことにより何もしなくてよくなってしまった。

その結果、前より何だかボーっとした表情をしているように感じられたのだ。

入居してたったひと月でこうも顔つきが変わるものかと驚いた。

 

しかし私と話をしているうちにいつもの祖母が戻ってきた。

顔はシャッキリしてきたし、他の入居者より私は話ごたえがあるのだろう。祖母の弁舌も本領を発揮してきた。

そうだった、祖母は話がとても面白いのだ。

 

祖母の話が面白いと言っても、「興味深い」と言った面白さではない。

下品で下世話で俗っぽい面白さだ。そして歯に衣着せぬ物言いをする。それがまた面白い。

 

昔、祖母と食事をしているときの話だ。

私が軟骨の唐揚げを食べていると祖母が「ねえ男の人のアレって軟骨で出来てるの?」と聞いてきた。

思わず軟骨を吹き出してしまった。

柔らかいとか固いとかが入り混じった軟骨みたいな感じでしょ?と。

祖母は80年間、男のアレは軟骨で出来ていると思っていたそうだ。

 

その日も祖母はいつもの調子で話しだした。

施設を案内してあげると言われ施設内を歩いていると、職員さんが折り紙をするからどうですか?と祖母を誘ってきたが「孫が来てくれていますので」と断っていた。

何だか職員の方や入居している人たちとのコミュニケーションの場の邪魔をしたかと思い

「いいやん、行って来たら?僕部屋で待ってるし」と言ってみたが、

「いいのいいの、さあ部屋に戻りましょ」とそそくさと部屋に帰って行った。

部屋に戻ると

「紙折っても全然楽しない、しかも周りの人は皆ボケてて私だけしっかりしてるから他の人よりたくさん折らされる」

「私が今まで折り紙してるの見たことある?そら好きでやってる人はええけど、折り紙嫌いやわ」とバッサリ。

そそくさと部屋に戻った理由が分かった。

 

そんな調子で職員の方とも話しているそうで、こういう物言いに嫌悪感を持つ職員の方もいるんじゃないかと心配した。

入居後に祖母が職員の人に「この部屋って牢屋みたいやわ」と言ったそうだ。

すると職員さんは「牢屋よりちょっとだけ広いです」と返す刀でバッサリ。

職員さんの方が一枚上手だった。

 

その日はメインの用事として私の結婚式での写真を祖母に持って行ったのだが、私の結婚の話はそこそこにすぐに祖母の結婚の話になった。

「私の時代は戦争で男が少なくて女が余ってた。だから数少ない男が上から順番に綺麗な女を娶っていって、不細工な女は行かず後家になってたわ。」

「まあ私は綺麗な方やったし、割かしユーモアもあったからようモテたわ。」

「ラブレターもたくさんもらって、私は目移りするからラブレター貰ったらその人のことが気になって、それぞれの男に気のある返事をしたもんや。」

「貰ったラブレターは学校の壁に一枚一枚貼って皆で見てたわ」

ラブレターを壁に張って皆で見るって相当エグイ事をしていたようだ。

戦後の恋愛観はどうなっていたんだ。

さらに嘘か本当か分からないが、富山出身の議員の綿貫と見合いをして、見初められたと言っていた。

綿貫の家に招かれて、たくさん並んでいる蔵を端から数えて10を超えた辺りで数えるのに飽きたそうだ。

 

そんな馬鹿な話をしていると、急に祖母が真顔になり「おばあちゃんはやっぱりここにいる方がいいと思う?」と聞いてきた。

頭がしっかりしていて、自分のことは自分でできる体力がある祖母からすれば、老人ホームにいる必要性を感じなくなる時があるのだそうだ。

しかし夜、一人になると人が常にいる環境に安心できるし、そもそも老人ホームに入った一番の理由はそれだ。

祖母がまだ自宅にいた時は夜に不安になり私の母に電話をしていた。

そんな日が続き、父方の祖母も体調が悪くなると私の母に連絡をしていたため、母はかなり参っていた。

その母の姿を見ていた身としては軽々しく「おばあちゃんが嫌だったらここを出ればいいんじゃない?」とも言えないし、
祖母の現状を知りながらお金も出していない、手間もかけていない私が「このまま入っておいた方がいいんじゃない?」とも言えなかった。

 

介護は救いが少なすぎる。

 

みんながみんな朝丘雪路のような介護生活を送れるわけではない。

もちろんそれだって本人たちには壮絶だったのだろう。

 

すっかり話し込んでしまい、祖母の食事の時間になった。

そのタイミングで私が帰ろうとしたら祖母が別れ際に握手をしてきた。

「いつもこんなことしないやん」と私が言うと

「そうやけど、これで最期かもしれないから」と言った。

「じゃあこれを最後にしないようにしないとね」と笑って返して私は家路についた。

妻にバレずにアークザラッドをプレイ







去る12月3日にソニー・インタラクティブエンタテインメントからPSクラシックが発売された。

収録されているソフトは、いずれも懐かしい名作ばかり。

アラサーのゲームっ子の方には共感していただけるだろう。

その中でも思い入れが強いのがアークザラッド1と2。

特に2はストーリーの重厚さとやり込み要素の多さから、発売当時にとてもハマり長い時間プレイした。

そんな私がPSクラシックを買って、アークザラッド2を快適にプレイするためにまず取りかかったことは

アークザラッド2へコンバートするためのアークザラッド1のデータ作り」でもなければ

「プレイ時間確保のための仕事や家事の前倒し処理」でもなかった。

私が一番に取りかかったことは「妻にPSクラシックを買ったことをバレないようにすること」だった。

 

今年で32歳になる私だが、未だにゲーム離れが出来ていない。

いつかゲームをしなくなる日が来るだろうと思い続け気付けばもう30代。

一生ゲームをすることになるんじゃないかと最近思い始めている。

しかし、そうもいっていられない。

環境が変われば習慣を変えなければいけないもので、

妻と一緒に暮らし始めてからは今までのように際限なくゲームをやり放題と言うわけにもいかなくなった。

もちろん私がゲームをすることに対して妻は一定の理解を示してくれているのだが、
それは私の余暇の時間の中で、更に妻との家族の時間を過ごした残りの時間をゲームに充てることで許されているという状況だ。

従って、それを崩すことは許されないし、崩そうとすることですら許されない。

今回のPSクラシックの購入はまさにその状況を崩そうとする行為に他ならない。

それもそのはず、アークザラッド2は普通にクリアするために60時間ほどかかってしまう。

これに2にコンバートするためのアークザラッド1のデータ作成に20時間。

アークザラッド2のやりこみに20時間。アークザラッド2を余すことなく遊び尽くすには約100時間もの時間が必要になってくる。

そんなゲームを購入した人間が「妻との時間を過ごす」と言ったって説得力は皆無だ。

ということでゲームをしている姿を見せない事はもちろん、購入したPSクラシックを妻に見つかってもいけない。

ところでアークザラッド2では縛りプレイも盛んに提案されている。

最もポピュラーな「仲間モンスター縛り」に始まり「装備縛り」「特殊能力縛り」や「使用できる仲間と道具、3文字縛り」なんてユニークなものもある。

今回私が挑戦する縛りプレイは「妻にバレずにクリアする」である。

延べ100時間もの間、妻に見つかることなくアークザラッド2を余すことなく堪能することは困難を極める。

ゲームをやっている姿が見つかることはもちろん、PSクラシックが見つかってもアウトなのだ。

しかも私の家に設置されているテレビはリビングに1台だけなのだ。

これは終わったか?そう思った私に天啓が降りてきた

ここで私の家のリビングを見てほしい。

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我が家のリビングの様子

ここから約10秒で

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10秒後の我が家のリビングの様子

こうだ。

PSクラシック本体を出していない状態でどうやって?と思うだろう
そのカラクリはこれだ。

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テレビの裏に

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隠しておきました。

 

普段の生活でテレビの裏を見る人がどれだけいるだろう。

年末の大掃除ぐらいでしか見ないんじゃないだろうか。

つまり今から年末まではこれがバレる心配はないというわけだ。

リビングでゲームをする憂いはこれで無くなった。

 

しかしもう一つの問題が浮上してきた。

それは妻は一日の大半をリビングで過ごすということだ。

せっかくリビングで安心してゲームに没頭できる環境になったというのにそのリビングには鬼がいた。これでは洗濯ができない。

ここでも一計を案じた。

これを見てほしい。我が家のベッドルームだ。

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ベッドルーム内の収納の様子

ここからも約10秒で

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10秒後のベッドルーム内の収納の様子

 

こうだ。

 

ベッド横の収納にテレビをセッティングしている。

先程、私の家に「設置されているテレビ」はリビングの1台だと言ったが、「設置されていないテレビ」はもう1台あるのだ。

それを有効活用。

妻はこのテレビが設置されている事すら認識していない。

完全犯罪とは人間の認識外のことを行うから完全と呼ばれるのだ。

リビングとベッドルームの2枚看板、これで妻にバレずにアークザラッド2を楽しもうと思う。

流行りものが嫌いだった自分を妻が変えてくれた

 

妻と暮らしてそろそろ1年が経つが、一緒に暮らす中で分かったことが一つ。
妻は流行しているものを取り入れるハードルが低いということだ。

 

私はここ数年流行しているものなんて取り入れていない。

いつもと同じ場所に行き、同じようなものを食べ、同じような娯楽で楽しむ。

やっていることはもうずっと変わっていない。新しいものを自分の生活に取り入れていない。

 

一方、妻は対照的だ。

常にテレビやSNSから流行のものを取り入れ、食事も美容も旅行も新しいものを取り入れている。

娯楽だってそうだ。流行っている芸人さんや動画をマネして楽しんでいる。

 

何故私はこうも動きが鈍いのだろう。

その答えとして、一つは自分の手に馴染んだ娯楽が安心するという事だろう。

慣れ親しんだ娯楽がそれなりの楽しみを与えてくれることを知っているために自分にフィットしていない不自由さを感じてまで新しいものを取りいれる必要性を感じていないのだろう。

 

しかし実際は流行っているものに複雑なルールなんか無いし、むしろ入口が複雑に作られているものは流行りにくい。

そしてただそれに手を伸ばせば楽しむことが出来るようになっている。

妻はそれを本能的に知っているから、私が二の足を踏んでいる間に易々と流行のものを取り入れられるのだ。

 

そして私がこういう流行りものを取り入れないもう一つの理由として
流行っているものを取り入れたら今までの自分の人生を否定してしまうんじゃないかという思いがあるという事だ。

 

思えば私はスクールカーストであまり上位の方にいなかったように思う。

スクールカーストの上位の人達が妻のように流行りものに乗っかり盛り上がっている様子をよく見かけた。

それを羨ましいと思う一方で、自分はその人達のように盛り上がったり出来なかったことから、

「自分は出来ないんじゃないくて、あんな馬鹿らしいことはやらないだけだ」と考えるようになってしまった。

イソップ童話の「すっぱい葡萄」にみられるような心理的な防衛本能が働いていたのだ。

 

そういう思いが根底にあるから、今でも流行っているものを自分に取り入れることが苦手だ。

今になって易々とそれを取り入れてしまったら過去の自分と、それに基づいて形成されている今の自分を否定してしまうのではないか。

そんな考えが私の動きを鈍くしている。

 

しかし夢屋まさるの「パンケーキ食べたい」というネタをテレビで見ていた妻が私にやるように促してきたので、

渋々やったときも何故か分からないが自然と笑みがこぼれてきた。

ナカタヤスタカの耳にこびりつく電子音にあわせてパンケーキ食べたいとリズムよく歌うというシンプルさがその中毒性を増している。

次の日の仕事中に「パンケーキ食べたい」が頭から離れず仕事にならなかった。

 

AAAの西島隆弘の「トリコ」という曲のダンスが流行っていると聞けば、踊ってみようと誘ってくる。


最新版‼️ 【トリコダンス】本人映像 Nissy(西島隆弘) 吉沢亮 新木優子 杉野遥亮 Tik Tok

動画を見ながらだから完璧には程遠い出来栄えで、とてもじゃないけど人に見せられるものではない。

でも何故かわからないけど楽しい。踊りながら笑ってしまう。

 

やりもしないで馬鹿にした態度を取っていたけど、やれば面白い。

やってみて、もし仮に面白くなかったら「面白くないね」と二人で笑えばいい。

当たり前のことに気付かせてくれた妻はすごい。